低用量ピル
低用量ピルには、エストロゲンという卵胞ホルモンとプロゲステロンという黄体ホルモンが含まれています。この2種類のホルモンにより排卵を抑制し、避妊効果につなげます。医師の指示通りの服用をした場合には、避妊失敗率が0.3%であり、飲み忘れがあった場合でも避妊失敗率は8%程度と報告されています。
コンドームの避妊失敗率は2~15%、排卵日を避けるオギノ式などのリズム法の避妊失敗率は9~25%もあることから考えて、より確実な避妊法として低用量ピルは優れています。また、女性が身体をご自分でしっかり守ることができることも大きな特徴です。
低用量ピルの種類
日本ではホルモンの配合比が異なる低用量ピルがあります。エストロゲンという卵胞ホルモンとプロゲステロンという黄体ホルモンの量が一定量で変わらない一相性ピルと、1周期の中でホルモンの配合比が3段階変化する三相性ピルです。
三相性ピルは自然のホルモンバランスの変化に近付けた処方で、不正出血防止やホルモンの全体量を抑えることができます。ただし、一相性ピルと三相性ピルにもそれぞれいくつかの種類があり、どれが合うかは、もともとのホルモンバランスや体質などにより異なります。そのため、医師とじっくり相談してご自分に合うものを見つけることが重要です。
ピルの服用について
毎日、決まった時間に1錠、21日間飲み続けます。その後は7日間、休薬やホルモン成分が含まれていないプラセボの錠剤を飲みます。プラセボを服用するのは、その期間に休薬して再び服用する際にうっかり飲み忘れることを避けるために行うもので、実質的には休薬しているのと同様になります。
休薬中、あるいはプラセボの服用中に月経がはじまり、最初にピルを飲み始めた日から28日経過したら1周期が終わります。29日目は2周期の1日目にあたりますので、再び決まった時間に1錠、21日間ピルを服用します。
飲み忘れの対処法
1回服用を忘れた場合
前日、飲み忘れたことに気付いたらすぐに1錠服用します。そして決まった服用時間がきたら、今日の分も1錠服用します。飲み忘れた翌日は2錠服用することになります。
2回以上服用を忘れた場合
ピルの服用を中止しますが、性交する場合には必ず他の避妊方法を行ってください。数日後に出血があったら新しい周期で服用を開始します。
ピル服用による避妊以外のメリット
月経周期が正しくなり、月経痛が軽くなり、月経量自体も減ります。 周期が正しくなることで、スケジュールも立てやすくなります。
またニキビや多毛症の改善、卵巣がんや子宮体がんの予防効果も期待できます。
ピルの副作用
ピルの服用による副作用には、重大な問題につながらないものと、つながる可能性があるものがあります。
一般的な副作用としては、重大な問題につながらず、内服を継続するうちに軽減していくものがあります。具体的には体重増加、悪心、頭痛、不正出血、ニキビや多毛(改善に働くこともあります)、乳房緊張などです。
一方、まれにしか起こりませんが、ピルの服用が重大な副作用を招く可能性もあります。静脈血栓症、脳卒中、心筋梗塞などであり、定期的な血液凝固系の検査が不可欠です。また、静脈血栓症に関しては喫煙や肥満、高年齢がリスクを上昇させることがわかっています。
低用量ピルを服用中に現れたらすぐに循環器科を受診する必要がある症状
- 激しい頭痛
- 激しい腹痛
- 激しい胸の痛み
- 息苦しさ
- 目が見えにくい
- 視野が一部欠損している、視野が狭くなった
- 舌がもつれる
- 失神やけいれん、意識障害を起こした
- ふくらはぎの痛み
- 足の強いむくみや赤み
緊急避妊(モーニングアフターピル)
緊急避妊は、セックスの後に服用して妊娠を防止する避妊法です。避妊をしなかった場合、またはコンドームが破れる・抜けるなどで避妊に失敗した場合に可能ですが、効果は100%ではなく医師の指示を守って服用しても妊娠を防止できない場合があります。緊急避妊ピルでは、レボノルゲストレルという黄体ホルモンを成分とした薬剤(商品名ノルレボ)が用いられ、セックス後の72時間(3日)以内に内服する必要があります。
また、緊急避妊ピルの効果は、服用後数日から数週間後に月経があってはじめてわかります。そのため、緊急避妊ピルを服用しても、予定月経が1週間以上遅れている場合には妊娠の可能性があります。 あくまでも緊急の場合に用いられるものですから、当クリニックで緊急避妊ピルの処方を受けた場合、月経がはじまった場合にも再度受診していただいています。
また、今後のリスク回避のために確実な避妊法である低用量ピルなどについてもくわしくご説明しています。
アフターピルの服用後
アフターピルを服用して妊娠を防ぐことができると、一般的には次の月経が服用から1週間から10日後あたりではじまります。ただし、早いと4日で月経が来てしまうケースもありますし、遅ければ2週間以上経過してから月経が来ることもあります。次の月経がいつ来るかは個人差がとても大きいのです。
アフターピルの服用で妊娠を防げたかどうかは、次の月経が来るかどうかでわかります。それまでは結果がわかりませんが、アフターピルによって月経の時期が通常よりも遅れることはほとんどないとされています。そのため、通常の月経予定日を過ぎても月経が来ない場合には妊娠している可能性がありますので、すぐに当クリニックまでご相談ください。
アフターピルの費用
費用(税抜き) | |
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ノルレボ | 15,000円 |
ヤッペ | 5,000円 |